雪が溶け、4月の下旬を過ぎると葡萄の芽が膨らみ始め、気温の上昇とともに葉が開き始めます。
加温の葡萄の栽培をするために、ビニールを張ります。
ビニールハウス内の気温と地温を上げることにより、葡萄の芽が徐々に目を覚まし始めるのです。
ここから本格的に美味しい葡萄を作るための作業の始まりです。
葉っぱが4~5枚開いた頃、同じ部分から出てきた2本の枝の片方を摘み取って1本にしたり、勢いの弱い・細い枝を取り除く「芽かき」作業を行います。
これにより、枝の勢力が均等化されてバランスよく栄養が行き渡るようになります。
また、枝が重なって陰になっていた部分に日光が当たるようになり、枝の生育も良くなります。
温かくなり枝が80cm程伸びた頃、上を向いた枝を横に寝かせる誘引を行います。葡萄は枝の先端に養分が集中しやすいので、枝を寝せて日光を当たりやすくすることで、葡萄の花芽に養分を送り込むようにします。また葡萄の花も下を向いてくるので後の作業もやりやすくなります。
葡萄の花が開花する少し前に枝の先端の葉を摘み取る摘芯を行います。この作業により、枝の先端に流れていた養分が房のほうに流れやすくなり着果しやすくなります。
葡萄の花が咲き始めた頃~満開時期の間で房作りを行います。20cm程伸びた葡萄の花芽を先端3~3.5cmだけ残し、他は切り落とします。養分を先端に集中させることで実が着きやすくなります。この作業が遅れて満開時期を過ぎてしまい、何もしないでそのままにしておくと、実はポロポロと落ちてしまい、綺麗な形の房に仕上がりません。まさに時間との勝負です。
房作りが終わり、満開時期を3日程過ぎた頃までにジベレリン処理を行います。ジベレリンとは植物体内にある植物ホルモンのひとつで、種をなくし、実を大きくする働きがあります。カップに注いだジベレリン液を一房、一房浸していきます。ホルモンと聞いて少し不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、動物ホルモンと植物ホルモンは全くの別物なので、人が接種しても体に影響が出ることはありません。ご安心ください。
葡萄の粒が直径1cm程になった頃、余分な房を間引く摘房作業を行います。
ひとつの枝に2~3房着果している中で形の良い房をひとつだけ残し、養分を集中させるため、他の房は落とします。もったいない気もしますが、房を多く残し過ぎると葡萄の色付きが悪くなるので、美味しい葡萄に仕上げるにはきちんと摘房することが重要です。
摘房が終わればすぐに粒を間引く摘粒の作業に移ります。房の中に入り込んでいる上向き、下向きの粒をハサミでカットして取り除きます。
一房に60粒くらい付いている実を35粒程残して形を整えます。隙間を開けることで実が大きくなるスペースができ、色付きが良くなるほか、病気や虫の予防にも繋がります。一房、一房手作業で毎年手入れします。葡萄の作業の中で1番時間がかかる作業です。
梅雨の時期に入ると日照時間が少ないため、植物の光合成が劣り抵抗性が下がるので病気や害虫が発生しやすくなります。病害虫から葡萄の房を保護するためにすべての房に手作業で袋を掛けていきます。数が多いので、こちらも根気のいる作業です。
葡萄は同じ樹から毎年収穫します。一度樹が害虫にやられてしまえば収穫量が激減してしまうことも少なくありません。土屋農園では必要最低限の農薬を使用する減農薬栽培を心掛けています。
いよいよ収穫シーズン最盛期です。
早ければ8月下旬から、直売所オープンです。10月中旬頃まで美味しい葡萄を販売しております。
販売期間は様々な品種の葡萄が並びますので是非お立ち寄りください。
収穫が終わった後は、剪定と皮剝ぎを行います。
剪定は翌年の葡萄にも影響する大事な作業です。枝を多く残すと葉が茂り過ぎて暗くなり、色付きにも影響が出てしまいます。また、枝を短く切りすぎると翌年に房が付かないこともあります。
枝の切り方ひとつで違いが出るため経験と技術を要する作業です。
皮剝ぎも重要です。樹も樹齢を重ねるごとに樹の皮に厚みが出ます。冬の時期は樹と表皮の隙間に害虫が冬眠してしまうので皮を剥ぎ取り虫が付かないように予防します。
葡萄には年間通じて様々な作業があり、どれも美味しい葡萄を作るために欠かすことのできない作業です。
葡萄の育成は地道で根気のいる作業が多いので楽ではありませんが、毎年直売所に笑顔で来ていただく皆様へ甘くて美味しい葡萄をお届けするため、スタッフ一同、より一層努力してまいります。